公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

JAIFA公式LINE

公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2025年6月号掲載

Lesson.5 将来の収支不安を解消したい60代世帯

この記事を
みんなにお知らせする

人生100年時代はニューノーマルの時代。
「支出」も「貯え」も、さらに「夢」ですら、「収入」になり得ると多角的に考えましょう。

65歳は一日で例えればまだ午後3時半

人生を一日に置き替えて見つめ直す考え方は古来よりあります。ですが、仮に寿命が延びて一生がどれだけ長くなっても一日は24時間で変わらないとすれば、1分1秒の時間は相対的に濃くなります。

例えば、70年の人生で55歳に定年を迎える場合、一日に置き替えると55歳は夜7時の夕食時に相当します。その後、午前0時までが余生です。しかし、一生が100年ともなると、65歳で定年してもまだ午後3時半のおやつ時、一日の3分の2が経過したに過ぎず、楽しみな三度目の食事の時刻はまだ先です〔図1〕


人生100年時代と謳われる昨今、生きる時間が長くなれば、確かに「後半生の暮らし」に不安が募ります。

「その先の時間が長い」とネガティブに捉えるより、お楽しみのディナーは、いっそもっと遅く、夜9時にでも、豪華に美味しく頂こうと、前向きに思えるようになりたいものです。

家計の3つのエンジンをバランスよく動かす

家計において、そのエンジンともいうべき収入源は3つあります〔図2〕。いずれかに偏って酷使するより、バランスよく動かせば、各々は小さな動力源でも相乗効果により、安定感は抜群に増します。

その第1の収入源は就業収入。「人材不足」に悩む企業側に需要はあるので、自身が望めば70歳や75歳を超えても現役並みにバリバリ働くことは可能です。しかし、人生100年時代です。楽しみながら細く長く、収入を得続けていける方法が、きっとあります。

例えば、昔の夢を叶えるためにパートやアルバイト形態を利用して働くのも1つ。年齢や体力的に難しくとも、地域のNPO等の有償ボランティアで夢に近い職業を探せるかもしれません。俳優になりたかった方は、シニア枠のエキストラから始めるのも面白い働き方でしょう。

これまでの固定観念や価値観を捨て、プチ就労・プチ副業・プチ起業等のミニマムな方法であれば実現可能な手段はいくらでもあると思います。100は求めずとも、0ではなく、20や30を得るだけでもずいぶんと違うものなのです。

次の第2の収入源は資産収入。前回までに述べた資産運用の各手段以外にも、家計にとっての〝The 不労所得”である運用資産からの配当等に注目するスタンスも考えられます。貯蓄の取崩しに頼るだけでなく、たとえ少額でもお金の置き場の1つである資産運用からの収入を見込めるようになれば余裕も生まれます。

万一の時にお金が入ってくるという発想をもつ

「不適切な表現」である点を容赦して頂いた上で、あえて端的に述べるなら、家計における保険機能とは、「身体・生命・財産等への所定事故を担保に収入を得る装置」といえます。第3の収入源保険収入とは、他のエンジンがうまく働かなくなっても、最後まで動き続けてくれるエンジンです。生命保険や損害保険だけでなく、公的年金もその1つといえます。

介護保険も医療保険も終身保険等も、保険料という「支出」を伴うものですが、万一の際には心強い「収入」となります。人生後半期の家計の収支について、介護費や医療費の高額化を不安に感じる割合は決して小さくはありません。しかし、万一の際に、「お金が出ていく」と考えるのではなく、第3の収入源として「新たなお金が入ってくる」と考えられるしくみを作っておけば、不安も軽くなるのではないでしょうか。

PROFILE

井上 信一(いのうえ しんいち)
価値生活研究室 代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

FPとしては、個人向けFP相談、法人・個人向けのセミナー・講義、労組・福祉会等の発行する福利厚生冊子執筆のほか、企業のリスクマネジメント・福利厚生設計支援、各種コラム執筆や書籍監修にも多数従事。
また、進展する超高齢社会を前に、「介護の不安を軽くするための暮らしと住まい」を支援すべく数多くの高齢者施設の見学会や情報発信等の企画も開催。成年後見人として、地域社会への貢献活動も行っている。

この記事を
みんなにお知らせする

この記事が載っている号

広報誌「Present」2025年6月号

記事一覧・電子版PDFのダウンロード

JAIFAに入会したい方へ

JAIFAの会員制度についてや入会方法についてご案内しております。
メールフォームでの入会も可能です。