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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2026年2月号掲載

Lesson.10 実家の親の老老介護が始まる50代後半世帯 —— その1

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「頼れるところは頼る」という気持ちで、周囲を巻き込むセーフティーネットをつくりあげることが子の責任です。

生活の「負担を減らす」ことが大切

人生のセカンドステージを描く頃に立ちはだかり得るのが親の介護の問題です。

親と離れて暮らす場合、実家とは「かつての子どもの頃の記憶に戻れる場」です。ところが、親が老いると、不変であったはずの憩いの場が親の苦労に対する戸惑いを帯びる場へと変わります。

こういう時は、「家族が支えるべき」と考えるのではなく、「家族だからこそ途中で疲れないよう、心身に余裕を残すべき」と考えましょう。心身の状態が変われば、それに応じて暮らし方が変わるのが自然です。「頼れるところは頼る」、「生活の負担を減らす」という気持ちを持つことが大切です。

また、こうした対応は、子の立場からこそ提案したいものです。例えば、老いて要介護者となった父親を、老いて身体の不自由な母親が支える、というケースを挙げて家族の負担軽減となる方法を考えてみましょう。

公的介護保険の適用サービスを活用

➀ デイサービス(デイケア)

母親の負担を減らすためにも、週に数回程度は半日、できるだけ体を動かすプログラムのあるデイサービスを利用するのは有効です。通所リハビリ機能のあるデイケアを選択する手もあります。

父親が自力で入浴するのが困難な場合は、家族が支援するのはもちろんですが、訪問入浴等の介護サービスを利用するより、デイサービス等で入浴を済ませるのが負担も少なく安心です。

➁ 生活援助のヘルパー(訪問介護)

食事の支度や洗い物、洗濯、掃除等の家事のうち、他人に任せても良いものから、順次、任せるのも良い手です。例えば、立ち上がったり屈んだりするのに労力を要するトイレや風呂場の掃除を依頼するだけでも母親の家事負担は軽減できます。

ただし、家事に関するヘルパーを利用する場合、原則、誰の介護保険を適用するのかで提供される空間が制約されます。例えば、父親は風呂を利用せずトイレは共有する場合、父親でなく母親の介護保険を適用すれば風呂場とトイレ(時間に余裕があれば居間や母親の居室)の掃除を依頼できます。1時間程度のサービスを週に1~2回の頻度で依頼すれば十分でしょう。訪問介護は介護者の援助にもなるのです。

公的介護保険の適用外サービスも利用

➂ NPOの移動介助や送迎

定期的な検診等が必要となる病院が近所にない場合、毎回付き添うのも負担が大きいので、NPO等に依頼する手もあります。

業者により様々ですが公的介護保険よりも使い勝手が良く、送迎、院内付き添いと移動介助、医師とのやりとりの報告、次回検査予約まで依頼可能なNPOもあります。

➃ かかりつけ医を訪問診療に切り替え

内科等の「かかりつけ医」がある場合、通院から訪問診療や訪問看護に切り替える方法があります。通院より多少は費用が高くなりますが、処方薬もある場合、提携している調剤薬局の薬剤師等の方も一緒に訪問してくれます。家族も一緒に話が聞けるのも利点です。

訪問診療を実施しているクリニック等を利用する際には、これまでの「かかりつけ医」に相談して紹介状を頂きましょう。

➄ ゴミを戸別収集に切り替え

集合住宅と異なり、戸建ての場合は決められた集積場所へ曜日ごとに分別したゴミを出しに行かねばなりません。例えば、オムツは相当な重量になりますが、たとえ台車等に載せたとしても、自宅から離れた集積場所へ何往復も運ぶとなると相当な重労働です。 行政により有無や利用条件が異なることもありますが、「高齢者等戸別収集」を利用できれば、決められた日に分別の手間なく、玄関先まで回収に来てくれます。

なお、回収日に玄関先にゴミが置かれていない場合、高齢者宅内で事故が起きていないかを確認してくれることもあるので、見守り策にも繋がります。

➅ シルバー人材センターを利用

庭の手入れや片付け、室内の大掃除、大工仕事等をシルバー人材センターに依頼する方法もあります。原則1割程度の負担の介護サービスより高くなる可能性もありますが、公的介護保険のような制約はないので、依頼できる内容は幅広く時間的な制約もありません。大掛かりになるものは1日単位での利用も可能です。

セーフティーネットは、家族の負担を減らすとともに、複数の人が出入りするので見守りにも、そして犯罪からの防犯にも繋がります。

はじめは慣れず気苦労があるかもしれませんが、時間をかけて交流を重ねて信頼や親しみを感じるようになれば、要介護者の方も家族にとっても、人付き合いを広げられます。社会との分断や孤立は悪循環を生む元凶。人と話す機会を意識的に増やすことは、良い気分転換にもなるでしょう。

PROFILE

井上 信一(いのうえ しんいち)
価値生活研究室 代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

FPとしては、個人向けFP相談、法人・個人向けのセミナー・講義、労組・福祉会等の発行する福利厚生冊子執筆のほか、企業のリスクマネジメント・福利厚生設計支援、各種コラム執筆や書籍監修にも多数従事。
また、進展する超高齢社会を前に、「介護の不安を軽くするための暮らしと住まい」を支援すべく数多くの高齢者施設の見学会や情報発信等の企画も開催。成年後見人として、地域社会への貢献活動も行っている。

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