個人が利用できる国や各自治体からの補助金・給付金には、世帯の種類やその方の置かれている状況によって様々なものがあります。ここでは、子育て世帯が利用できる国からの補助金・給付金等の支援を中心に解説します。
妊娠・出産・育児に関する補助金・給付金等の支援
健康保険や国民健康保険等に加入している方を対象として、出産育児一時金(注1)が子ども1人につき50万円支給されます。また、健康保険に加入している方であれば、出産のために給与を受けない場合には、出産予定日の42日前から出産日の56日後までの間、1日につき標準報酬日額の3分の2に該当する額が出産手当金として支給されます。
また、雇用保険から給付されるものとして、出生時育児休業給付金や育児休業給付金もあります。出生時育児休業給付金は、子どもの出生後8週間以内に取得する「産後パパ育休(出生時育児休業)」という制度に対して支給される給付金のことをいいます。これは、父親が柔軟に育児に参加できるように設けられた制度です。また、育児休業給付金は、1歳または1歳2ヵ月(支援対象期間の延長に該当する場合は1歳6ヵ月または2歳)に達する日前にある子を養育するために育児休業をし、給与が一定水準を下回った場合に支給されます〔表1〕。
「子ども・子育て支援金制度」による子育て支援の拡充
従来からの支援に加え、政府は、令和5年12月にこども未来戦略「加速化プラン」を策定し、総額3.6兆円のこども・子育て支援の拡充を実施することを決めました〔表2〕。
これにより、子育て世帯に対する支援の拡充が令和8年度にかけて段階的に行われています。中でも、「子ども・子育て支援金制度」(注2)を財源とする支援の拡充として、児童手当の抜本的拡充がなされ〔表3〕、妊婦のための支援給付として妊娠届提出時に5万円、妊娠後期以降に(妊娠している子どもの数ごとに)5万円、合わせて10万円相当が給付されることになりました。
また、満3歳未満の未就園の子どもであれば、保護者の就労要件に関係なく、月10時間まで利用できる「こども誰でも通園制度」が令和8年4月から開始されています。
さらに、共働き・共育ての推進の観点から、両親ともに育児休業を取得した場合、最大28日間、出生時育児休業給付金や育児休業給付金と合わせて手取りの10割相当(注3)が支給される出生後休業支援給付金や2歳未満の子を養育するために時短勤務を行った場合、時短勤務中の給与の原則10%が支給される育児時短就業給付金も開始されています〔表1〕。加えて、フリーランスや自営業の方など国民年金加入者の育児期間中の国民年金保険料免除措置が令和8年10月から開始されます。
子育て世帯が利用できるその他の支援
令和元年10月から始まった幼児教育・保育の無償化により、3~5歳児を中心に保育施設利用料が無料となっています。また、高等学校等の授業料実質無償化や高等教育の修学支援新制度による支援の拡充も図られています。その他には、省エネ性能の高い新築住宅の取得やリフォームを支援する国の補助金制度もあります(みらいエコ住宅2026事業〔Me住宅2026〕)。
この制度は、子育て世帯に限った補助金制度ではありませんが、一部の区分だけ「子育て世帯・若者夫婦世帯」に優遇措置がつく仕組みになっています。
ただし、当制度を利用するには「みらいエコ住宅2026事業」に登録している事業者に依頼する必要があり、登録事業者が申請することになります。ご自身で申請することはできない点に注意が必要です。
まとめ
このように、子育て世帯の方が国から受けることができる補助金・給付金などの支援には様々なものがあります。また、この他にもお住まいの自治体が独自に実施している子育て支援もあります。
ただし、国や自治体からの支援は、全てが自動的に案内されるわけではなく、ご自身で情報を収集する必要があるものもあります。まずは、今回の記事を参考に、国や各自治体のホームページなどを調べてみてはいかがでしょうか。
(注1)現在、通常の出産には出産育児一時金が支給されているが、今後はこの一時金を廃止し、分娩費用を全額医療保険で賄う(出産費用の無償化)の方向で議論が進められている。
(注2)全ての医療保険加入者が「支援金」を負担し、その財源を子育て支援の拡充に充てる制度。令和8年4月分から医療保険料とあわせて徴収される。
(注3)育児休業給付金や出生後休業支援給付金などの「育児休業等給付」は所得税や社会保険料がかからないため、休業前の給与の8割の支給でも、実質的には手取りの10割程度が確保される。
Profile
川端 見子(かわばた まみこ)川端見子FP事務所代表
京都大学教育学部を卒業後、マネープランをほとんど立てないまま司法試験の勉強を始めたことをきっかけに「夢や目標の実現にはお金の計画が欠かせない」ことを痛感。その経験から、ライフプラン・キャリアプランと同様にマネープランの大切さを伝えるファイナンシャル・プランナー(CFP®1級FP技能士)として、全国の学校や大学、企業などで講義や研修を行い、金融経済教育の普及に取り組んでいる。


