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Basic knowledge 遺族厚生年金のしくみ

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遺族厚生年金のしくみ

●遺族厚生年金を受給できる遺族

遺族厚生年金を受給できる遺族は、死亡した加入者によって生計を維持されていた次の間柄の人に支給されます。

  1. 遺族基礎年金を受けられる遺族(子または子のある妻:ただし、子は18歳になる年度末の子、または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する子)
  2. 18歳未満・20歳未満で障害等1級・2級に該当する子のない妻
  3. 55歳以上の夫・父母・祖父母(ただし、夫・父母・祖父母の支給開始は60歳からになります
  4. 18歳未満の孫または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する孫

●遺族厚生年金の受給資格

次のいずれかに該当する人が死亡したとき、条件にあった遺族(遺族厚生年金を受給できる遺族参照)がいた場合に遺族厚生年金が支給されます。

  1. 厚生年金の加入者が死亡したとき
  2. 厚生年金の加入中に初診日がある病気やけがでその初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者または受給資格を満たしている人(ただし、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である人に限る)

1~3は、加入期間が短くても支給される遺族厚生年金の要件で「短期要件」といいます。4は、通常は25年(特例で短くなる場合がある)以上の長期にわたって公的年金の被保険期間がある者の要件であり「長期要件」といいます。

短期要件は若年配偶者の救済、長期要件は老後に厚生年金を受給している元会社員等が死亡した場合等の配偶者の救済を目的とした制度といえます。

●遺族厚生年金の保険料納付要件

遺族厚生年金を受給するためには、遺族基礎年金と同様の保険料納付要件を満たさなければいけません。つまり、厚生年金に加入中に死亡した場合でも、その加入前の国民年金の保険料滞納期間が長いと遺族厚生年金がもらえない場合があります。

●遺族厚生年金の額

遺族厚生年金の額は、老齢厚生年金の年金額の4分の3となります。年金額の計算は、短期要件と長期要件で異なっています。なお、短期要件と長期要件の両方に該当する場合は、有利な方を選択することができます。

短期要件に該当する場合の計算方法

・平成15年3月までの計算
平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 加入月数 … A

・平成15年4月以降の計算
平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 … B

年金額 =(A + B)× 300/(Aの加入月数+Bの加入月数)× 3/4

25年の加入期間が無い場合には、総報酬制前と総報酬制後で個々の年金額を出し、各加入期間の割合で25年加入したものとみなし、期間計算しなおして計算します。

※死亡した人の厚生年金期間が平成15年4月以降のみの場合
平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 300月 × 3/4

長期要件に該当する場合の計算方法

・平成15年3月までの計算
平均標準報酬月額 × 7.125~9.5/1000 × 加入月数 … A

・平成15年4月以降の計算
平均標準報酬額 × 5.481~7.308/1000 × 加入月数 … B

年金額 =(A + B)× 3/4

※死亡した人の厚生年金期間が平成15年4月以降のみの場合
平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4

●中高齢の寡婦加算

遺族基礎年金は、子どもが18歳になった年度末(または20歳)で支給されなくなります。また、その年齢に該当する子どもがいない場合には最初から遺族基礎年金が支給されません。そのため受給額には大きな差が出ます。これを埋めるために、次の要件のいずれかに該当した場合、40歳から65歳まで遺族厚生年金に中高齢の寡婦加算が年額583,400円加算されます。

  1. 遺族基礎年金の加算対象となる子がいない妻で、夫の死亡当時、40歳以上65歳未満であること
  2. 遺族基礎年金の加算対象となる子がある妻で、末子が18歳に達した年度の末日(または1級・2級の障害のある子が20歳に達したとき)において、40歳以上65歳未満であること

なお、夫の死亡当時18歳の年度末までの子・20歳未満で、障害等級1級・2級に該当する子のある妻は、その子がその該当年齢でなくなり、遺族基礎年金がもらえなくなった時点からの支給になります。

2022.04.01 (保坂)

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