公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年2月号掲載

毎日食べたい「発酵食品」その驚きのパワーとは!?

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醤油や味噌、パンやバター、そしてビールや日本酒など……。
和食・洋食を問わず、発酵食品を口にしない日はないといっても、過言ではありません。
食材を異なる風味に変え、食べて美味しく、健康や美容効果にも注目が集まる「発酵」の世界を見てみましょう。

発酵とは?腐敗と何が違う?

人にとって有効な微生物の働きにより、有機物が分解されて変化を起こし、何らかの物質が作り出される現象のことを「発酵」といいます。 日本の朝食には欠かせない発酵食品の納豆は、苦手な人にとっては“腐った豆”と捉えられがちです。もちろん、本当に腐った豆は食べられませんが、納豆を食べてもお腹を壊すことはありません。

実のところ発酵と腐敗は、微生物の作用で有機物を分解し、新たな物質を作り出すという点では同じ現象なのです。両者が区別されるポイントは、新たに生成された物質が、人間にとって「害がないか、あるか」の違いです。

発酵は、素材の味や香りなどを、人にとって有益なものに変化させてくれます。一方で腐敗は、タンパク質などを分解して、硫黄水素やアンモニアなどの腐敗臭を発生させ、食べられない有害なものに変化させてしまうのです。

発酵を促す微生物とは

肉眼では見ることのできない、極めて小さな生き物を総称して「微生物」といいます。発酵を促す代表的な微生物には、「乳酸菌」「麹菌」「酢酸菌」「酵母菌」「納豆菌」などがありますが、これらを総称して「発酵菌」とも呼びます。

発酵菌の働きと代表的な食品

菌の種類菌の働き菌が関係する主な食品
乳酸菌菌の働き食品中の乳糖やブドウ糖など、糖類を栄養源に、乳酸を生成する菌が関係する主な食品ヨーグルト、チーズ、漬物
麹菌菌の働き加熱した穀物に繁殖するカビの一種で、タンパク質などを分解する酵素を生成する菌が関係する主な食品日本酒、味噌、醤油
酢酸菌菌の働きアルコールや糖類を栄養源とし、酢酸に変化させる菌の総称菌が関係する主な食品米酢、ナタ・デ・ココ
酵母菌菌の働き発酵の過程で糖を分解し、二酸化炭素とアルコールを生成する菌が関係する主な食品パン、ワイン、日本酒
納豆菌菌の働き加熱した大豆に加えて発酵させると、タンパク質を分解しアミノ酸を生成する菌が関係する主な食品納豆

発酵食品の歴史

発酵食品の始まりは諸説ありますが、アルコールが起源だったという説が有力です。その中でも最初の酒は、猿が木の穴にためておいた果物が、自然発酵してできた「猿酒」ではないかといわれています。それを見た古代の人々が、生活の中に発酵食品を取り入れるようになったといわれています。

日本での発酵食品の歴史を見ると、縄文時代にさかのぼります。この頃は、穀物や木の実を口に入れて噛み砕き、それを吐き出したものを容器に入れて放置し、発酵させるというものでした。唾液中のデンプン分解酵素が、デンプン質を分解してブドウ糖に変え、空気中の酵母を栄養源に発酵すると、アルコールが生成されます。これが「口噛み酒」です。

弥生時代に入ると、米飯にカビの生えたものを原料とし、発酵が利用されるようになりますが、これが「麹」です。この麹によって、醤油や味噌の原型である醤など、発酵を利用したさまざまな嗜好品が作られるようになりました。

時代は進み、室町時代には酒造りが盛んになっていきます。酒造には、雑菌の混じらない品質の高い麹菌が必要とされますが、麹を専門に製造する「種麹屋」という職業も生まれました。種麹屋は、酒造屋だけでなく、醤油屋や味噌屋にも麹を供給し、日本の発酵食品の発展に多大な影響を与えたといわれています。

発酵食品、驚きの効果は?

そもそも、食材を保存する知恵として受け継がれたのが発酵です。たとえば、発酵菌が作り出す酸は、食品に入り込もうとする腐敗菌をブロックし、保存性がアップします。しかし、発酵のメリットはそれだけではなく、他にもさまざまな魅力を持っています。
食品が発酵すると、微生物の働きによって、発酵前にはなかった食品独特の旨味や香りが引き出され、発酵食品のおいしさを作り出す要因の一つになっています。チーズやワインなどは、原料とは違う美味しさが実現したものといえるでしょう。また、発酵の過程では新たな成分が加わることで栄養価がアップするといった側面もあります。

さらに、微生物の働きによって、人の体に消化・吸収されやすくなるというメリットも。発酵前の食品をそのまま食べるよりも、発酵食品の方が身体への負担が軽くなるのです。
こうして、食材の成分を分解し、変化させることで保存性や栄養価のメリットとともに、おいしさをアップしてくれるのが発酵食品の魅力です。

発酵食品の効果

保存性

発酵菌の働きで、
腐敗菌の増殖を防ぎ
食品を長期間保存できる

おいしさ

発酵により
旨味や香り、甘みなど、
食材のおいしさがアップする

栄養価

ビタミンなど、
食材に新たな成分が加わり、
栄養価が上がる

吸収性

デンプンやタンパク質などが
酵素により分解され、
吸収性がアップ

腸内環境

オリゴ糖などを栄養源に、
腸内細菌が増えて
腸内の環境を整える

さらに健康・美容効果も!

発酵食品の効果は、保存性や栄養価などだけではありません。人の健康や美容面でもさまざまなメリットがあります。その効果の代表的なものをご紹介します。

免疫力を高める効果

人の腸内には、約100兆もの菌が存在し、その種類には「善玉菌」「悪玉菌」そして善玉・悪玉のどちらかの菌になる「日和見菌」があります。悪玉菌が増えると、便秘や免疫力の低下による肌荒れなどが起こります。
発酵菌の中で、乳酸菌やビフィズス菌は、善玉菌を助けて悪玉菌を減らす効果があります。ヨーグルトや納豆などは、これらの菌を含みますので、食生活の中に取り入れることで免疫力を高め、健康な体作りの効果が期待できそうです。その際には、オリゴ糖や食物繊維を多く含む食品を同時に摂ると、より効果的です。

効果的な発酵食品
ヨーグルト、チーズ、納豆、漬物、味噌など

代謝を促進する効果

加齢が進むと、若い頃と同じように行動しても痩せにくくなります。これは、基礎代謝が低下して、食べたものをエネルギーに変える働きが鈍くなっているためです。
代謝の働きを活発化させるには、酢酸を含む食品を摂ることが効果的。おすすめなのは食酢です。酢酸は、血行を促進して代謝を高め、体内の脂肪を分解する働きや血圧やコレステロールを低下させる効果が期待できるといわれています。

効果的な発酵食品
食酢、キムチなど

アンチエイジング効果

呼吸により体内に取り入れた酸素のうち、エネルギーとして生成されなかったものは活性酸素として体内に残ります。活性酸素が体内に増えると、体を酸化させ、シワやシミ、動脈硬化など、さまざまな老化現象を引き起こします。
活性酸素の増加による老化を防ぐには、抗酸化作用を持つ食品を摂ることが効果的といわれています。納豆・味噌などに含まれるイソフラボン、赤ワインに含まれるポリフェノールなどは抗酸化作用の効果があります。イソフラボンやポリフェノールは原料の大豆やブドウにも含まれますが、生の状態よりも、発酵させることで活動が活発になるのです。

効果的な発酵食品
ワイン、味噌、納豆など

生活習慣病の予防効果

発酵食品の中で、整腸作用や抗酸化作用のあるものは、がんなどの生活習慣病の予防に、効果があるといわれています。
たとえば、大豆に含まれるイソフラボンは、女性の乳がん予防に効果があるといわれています。また、血管の壁や細胞膜に付いた悪玉コレステロールを取り除く働きを持つのが、納豆や味噌、醤油などの発酵食品です。これらの食品は高血圧を予防してくれます。さらに、酒粕は血圧の上昇を抑制する効果も認められているようです。

効果的な発酵食品
納豆、醤油、味噌、ワイン、酒粕など

リラックス効果

発酵食品は、体の健康だけではなく、心の健康にも役立つ効果があります。納豆やヨーグルトなどに含まれるGABA(ギャバ)という天然のアミノ酸の一種には、脳の興奮を鎮め、心をリラックスさせる効果があるといわれます。
また、精神の安定に必要な「セロトニン」という神経伝達物質は、トリプトファンという必須アミノ酸を栄養源に、ほとんどが腸内で作られます。乳製品や大豆製品には、トリプトファンが多く含まれます。ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、セロトニンを増やすためには効果のある食品といわれています。

効果的な発酵食品
ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなど

食べれば美味しくて保存性もよく、健康・美容効果も期待できるなど、発酵食品には、私たちにさまざまな有益な効果をもたらしてくれます。ぜひとも、毎日の食生活に効果的に取り入れていきたいものです。

column 医薬品の分野でも発酵が大活躍

発酵は、食品分野だけではなく、医薬品の分野でも活用されています。
たとえば、感染症の治療に有効な抗生物質は、発酵を利用して作られます。最初に発見したのは、イギリスの細菌学者フレミングでした。「ペニシリン」という抗生物質は、アオカビから生まれたもので、これ以降さまざまな抗生物質が、発酵の力で生み出されています。
また、消化薬の「タカジアスターゼ」もそのひとつ。化学者の高峰譲吉がコウジカビの研究により、1894年に発明した消化酵素です。当初はアメリカで商品化されましたが、いまでもタカジアスターゼは、胃腸薬として利用されています。

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