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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2024年3月号掲載

保険料贈与プランを提案する場合の注意点

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QUESTION

贈与財産を有効活用するために、生命保険に加入して保険料に贈与された現金を充てたいと思いますが、特に注意を要することがあるでしょうか?

生命保険の営業パーソンから「孫にお金の贈与をし、私を被保険者、孫を契約者及び保険金受取人とする生命保険」の提案を受けています。
どのような点に注意をすべきでしょうか?

このプランを実行する最大のポイントは
「毎年の」贈与が「適法に」成り立っているか?という点です。

ANSWER

いわゆる「保険料贈与プラン」を活用する場合、年払保険料相当額の贈与を「適法」に成り立たせるために「毎年の」贈与契約書などの整備が重要となります。

孫名義の銀行口座であっても…

契約者である孫名義の口座から保険料が引き落されていたとしても、そもそもの保険料支払いの原資である贈与されたお金についての贈与が成り立っていないと判断されれば、その孫名義の預金口座は名義預金となり、被相続人の相続財産となってしまいます。

そして、その口座から保険料が引き落されていれば、その保険料負担者は被相続人となりますので、保険料贈与プランは成り立たないことになってしまいます。

つまり、受贈者の口座から保険料が引き落されているというだけでは贈与が成立しているとは言えず、最も重要なことはもっと根本的に「贈与という法律行為」が成立しているかどうかなのです。これが成立していないのが名義預金の問題であり、これまで数えきれないほどの否認を受けています。名義預金の口座から引き落とされている保険料は被相続人が負担したものとなってしまうのです。

国税庁から発表されている事務連絡

過去の事例をみると、保険料負担者が誰なのかという争いはいくつもあるのですが、そのことについて、昭和58年9月に国税庁から下記のような事務連絡が発表されています。

  1. 被相続人の死亡又は生命保険契約の満期により保険金等を取得した場合若しくは保険事故は発生していないが保険料の負担者が死亡した場合において、当該生命保険金又は当該生命保険契約に関する権利の課税に当たっては、それぞれ保険科の負担者からそれらを相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなして、相続税又は贈与税を課税することとしている。
  2. (注)生命保険金を受け取った者が保険料を負担している場合には、所得税(一時所得又は雑所得)が課税される。

  3. 生命保険契約の締結に当たっては、生計を維持している父親等が契約者となり、被保険者は父親等、受取人は子供等として、その保険料の支払いは父親等が負担しているというのが通例である。このような場合には、保険料の支払いについて、父親等と子供等との間に贈与関係が生じないとして、相続税法の規定に基づき、保険事故発生時を課税時期としてとらえ、保険金を受け取った子供等に対して相続税又は贈与税を課税することとしている。
  4. ところが、最近、保険料支払能力のない子供等を契約者及び受取人とした生命保険契約を父親等が締結し、その支払保険料については、父親等が子供等に現金を贈与し、その現金を保険料の支払いに充てるという事例が見受けられるようになった。
  5. この場合の支払保険料の負担者の判定については、過去の保険料の支払資金は父親等から贈与を受けた現金を充てていた旨、子供等(納税者)から主張があった場合は、事実関係を検討の上、例えば、⑴ 毎年の贈与契約書、⑵ 過去の贈与税申告書、⑶ 所得税の確定申告書等における生命保険料控除の状況、⑷ その他贈与の事実が認定できるものなどから贈与事実の心証が得られたものは、これを認めることとする。
  6. 出典: 国税庁「生命保険料の負担者の判定について」

重要なのは最後の下線部分です。

なお、「⑶ 所得税の確定申告書等における生命保険料控除の状況」につき補足説明をすると、たとえば、孫が契約者及び保険料負担者である場合の「生命保険料控除証明書」を贈与者である祖父が年末調整や確定申告で使用していたらおかしいということです。あくまでも祖父は保険料相当額を贈与しただけであり、生命保険料を支払ったのは孫だからです。

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