紹介は偶然ではなく必然
私たちが仕事を続ける上で、大切なお客さまからのご紹介。今回は、そのご紹介(追加)が出やすくなるお話です。
私は生命保険業界に入り、最初の1カ月間は集合研修。そののち、お客さまを想定してどんなお話をするかという、いわゆるロープレをたくさん行いトレーニングを積みました。
そして現場に出て半年経った頃、あることに気付きました。それは「紹介は偶然ではなく必然」というものでした。
自分のウィークポイントをつぶす!
駆け出しの頃の私は、毎週日曜日の朝、ファミレスで「一人作戦会議」を行っていました。それまでの1週間の振り返りと翌週以降どうやって活動するか作戦を練っていたのです。
ノートを開いて、ページの真ん中に上から下まで縦線を引き、紹介していただけたお客さまを左側に、紹介いただけなかったお客さまを右側に書き、その理由を書き出していきました。お客さまとのやり取りを思い出しながらその2つの違いを棚卸ししていきました。
特に紹介していただけなかった理由に着目し、「どのような理由から、私に紹介してもいいよという気にならなかったのでしょうか?」と、恥を忍んで頭を下げお客さまにおたずねしました。もちろん、紹介をいただいた方、契約をお預かりした方にも理由をたずねました。
こうやって毎週、紹介していただけない(契約していただけない)理由を洗い出して自分のウィークポイントをつぶしていきました。
その結果、一定の法則があることに気づきました。ある3つの要素が重なると紹介をいただける確率が高くなっていたということです。しかし、同時に1つでもその要素が欠けるとその確率は大きく下がることも分かったのです。
「紹介」が連鎖する三大要素とは?
紹介(追加)をいただくために必要な3つの要素とは、スキル 伝える コミュニケーションです。
紹介(追加)をいただくために必要な要素の1つ目は、何といってもスキルです。
当時、生命保険業界での経験が浅い私にはそもそもスキルが足りてないとお客さまから見られていました。ですから入社1年目の私が「紹介してください」とお願いしてもお客さまはそもそも私を紹介してよい人かどうか判断がつきにくいというわけです。
この業界、セールスプロセスやセールストーク、商品知識といった具合に、何よりやはりスキルが大事な柱になります。お客さまから見て、このスキルの部分が認められると、大きな信頼となり、紹介に繋がります。しかしそれは簡単な事ではありません。特に当時新人だった私からすると、極めて高い壁だったと感じました。
必要な要素の2つ目は、伝えるです。何を伝えるかというと、「自分は(生命保険の話を聞いていただける方を)紹介してもらえると嬉しい人間です」ということをお客さまにしっかりと認識してもらうということです。
大事なことは「紹介依頼」ではないということ。保険の担当者に自分の大切な人を紹介するというのはとても勇気のいることです。私たちから紹介を依頼した途端にお客さまの心理的ハードルは上がってしまい、かえって紹介の確率が下がってしまうということが、お客さまの声から分かりました。ですから「紹介してください」ではなく、「ご紹介いただけるとすご〜く嬉しいです」と笑顔で気持ちを軽くお伝えすることが効果的です。
必要な要素の3つ目は、コミュニケーションです。この「コミュニケーション」を解明するにはかなり時間が掛かりました。なぜなら、スキルと伝えるの部分は自らの努力や言い方を変えることで整えることができますが、コミュニケーションはそうはいきません。
コミュニケーションも加えた三要素が揃えばご紹介いただける確率がグッと上がるということには確信が持てたものの、どのようなやり方が良いのか、当初は見当もつきませんでした。
そこで当時私は会社の垣根を超え、紹介営業が得意な他社の方々に、「どうして紹介が出るのですか?」と聞いて回りました。ところが皆さん職人気質で感覚的なお話をされる方が多い。またそもそもコミュニケーション能力の高い方も多く、真似できる方法が見つかりませんでした。
そこで私は、自分で検証して「誰でもできるお客さまとのコミュニケーションを取るための技術」を確立しようと決めました。そしてたどり着いたのが、既存のお客さまを「定期的にフォロー」することによって、整えることができるというものでした。
これまで感覚的に捉えられてきたコミュニケーションの分野を「アフターフォローの技術」としてお伝えすることで、紹介が連鎖する3つの要素を揃えることができ、お客さまから安定的にご紹介をいただくことが可能になったのです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
皆さんの日々の活動の気付きになればすご〜く嬉しいです。
PROFILE
高尾 益臣(たかお ますおみ)
株式会社カスタマーリンクス
取締役会長
同社は、既存顧客からの追加や紹介を得意とする独自の理論「既契約マーケティング」×「オンライン相談」により、コロナ禍でも前年を上回る業績を継続。その手法が業界から大きな注目を浴びている。近著は『結果につながる既契約マーケティング』、DVD『新しい生活様式で紹介につながる既契約マーケティング』(いずれもセールス手帖社)。