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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2026年8月号掲載

第3回 高齢者世帯向けの 補助金・給付金

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高齢者世帯向けの補助金・給付金

物価上昇が続くなか、年金収入だけでは将来の暮らしに不安を抱く方も少なくありません。健康状態の変化や住まいの老朽化など、老後には思わぬ負担が生じることもあります。こうした中で、国の補助金・給付金を活用することが重要になっています。本稿では、高齢者世帯が利用できる主な支援制度を解説します。

年金生活者を支援する制度

年金生活者支援給付金制度は、公的年金等の収入やその他の所得が一定基準額以下の年金受給者に対し、生活を支えるために年金に上乗せして支給される恒久的な給付金制度です。

給付金には老齢・障害・遺族の3種類があり、条件を満たす限り継続して受け取れます。老齢基礎年金を受給している方には「老齢年金生活者支援給付金」が支給され、支給決定後は年金と同じ口座に振り込まれます〔表1〕

◎スマホでは図を横スクロールできます。


なお、令和8年4月から支給される老齢年金生活者支援給付金の額は、月額5620円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます〔表2〕。新たに支給対象となる方には日本年金機構から毎年9月の第1営業日以降に案内が送付されますが、申請しなければ受け取ることができません(すでに受給している方は、新たな手続きが不要です)。案内が届いた際は速やかに手続きを行うことが重要です。

◎スマホでは図を横スクロールできます。

就労や雇用継続に関する支援

●高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、60歳以降に賃金が大きく下がった方の収入を補い、働く意欲の継続を支援する雇用保険の制度です。「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があり、対象となるのは雇用保険の被保険者期間が通算5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者です。60歳到達時の賃金と比べて各月の賃金が75%未満に低下した場合に支給され、64%以下に低下した場合はその月の賃金の10%、64%超75%未満の場合は低下率に応じて10%未満の額が支給されます(注)。なお、各月の賃金が38万6922円(令和8年5月現在)を超える場合は支給対象外です。「高年齢再就職給付金」を受けるには、一旦離職後に再就職していることに加え、再就職日の前日時点で基本手当の支給残日数が100日以上あること、さらに1年以上継続雇用の見込みがあることなど、追加の要件を満たす必要があります。また、この給付は「再就職手当」との併給はできません。

●高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が離職した際に受け取れる雇用保険の一時金です。65歳未満の方が受ける基本手当とは別枠で設けられており、離職後の生活と再就職活動を支援する目的があります。支給を受けるには、①離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あること、②就職の意思と能力があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない「失業の状態」にあること、の2つの要件を満たす必要があります。給付額は離職時点で算定される基本手当日額を基礎に、被保険者期間が1年以上の場合は50日分、1年未満の場合は30日分が一時金として支給されます。

医療費・介護費の負担軽減に関する支援

高齢者世帯の医療費・介護費の負担を抑えるため、国は自己負担を軽減する制度を設けています。医療では、公的医療保険制度の加入者が利用できる高額療養費制度により自己負担に上限が設けられ、後期高齢者医療制度のもとで超えた分は公的に補填されます。介護では高額介護サービス費が負担を抑え、医療と介護を合算して年間の負担を調整する高額介護合算療養費制度もあります。いずれも現金給付ではありませんが、国が費用の一部を負担することで、実質的に給付と同様の効果を持つ支援です。

住宅に関する支援

住宅のバリアフリー化を支援する制度として代表的なのが、介護保険による居宅介護住宅改修費です。要介護(要支援)認定を受けた方が手すりの設置や段差の解消などを行う際、改修費用の7~9割が給付(支給限度基準額20万円のうち7~9割を保険給付)されます。 また、住まいの確保が難しい場合の家賃支援として住宅確保給付金があります。生活困窮者自立支援法に基づく国の制度で、自治体が「自立支援給付」として家賃相当額を家主へ直接支払う仕組みです。高齢者世帯に限定された制度ではありませんが、収入が不安定になりやすい高齢者の住居確保にも役立つ支援です。

まとめ

このように、高齢者世帯の方が国から受けることができる補助金・給付金などの支援には様々なものがあります。また、このほかにも、お住まいの自治体が独自に実施している高齢者世帯向けの支援もあります。これらの支援は、国の制度も自治体の制度も、基本的には申請が必要となるため、利用を検討する際は制度内容を確認し、必要な手続きを早めに進めておくことが大切です。



(注)令和7年3月31日以前に60歳に達した方(またはその時点で被保険者期間が5年未満の場合は、5年に達した日)については支給率が異なる。

Profile

川端 見子(かわばた まみこ)川端見子FP事務所代表

京都大学教育学部を卒業後、マネープランをほとんど立てないまま司法試験の勉強を始めたことをきっかけに「夢や目標の実現にはお金の計画が欠かせない」ことを痛感。その経験から、ライフプラン・キャリアプランと同様にマネープランの大切さを伝えるファイナンシャル・プランナー(CFP®1級FP技能士)として、全国の学校や大学、企業などで講義や研修を行い、金融経済教育の普及に取り組んでいる。

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