結婚新生活支援事業とは
結婚新生活支援事業とは、新婚世帯の経済的負担を軽減するため、国(こども家庭庁)が地方自治体を通して、これから夫婦として新生活を始める世帯を対象に、結婚に伴う新生活のスタートアップ費用(家賃、引っ越し費用等)を補助する制度です。当事業は、国が「地域少子化対策重点推進交付金」により自治体を支援し、その交付金を活用して自治体が独自に実施する仕組みとなっています。そのため、支援を受けるには、お住まいの自治体が当事業を実施しているかどうかを確認する必要があります。
自治体ごとに支援内容や要件には違いがあるものの、国が示す基本的な枠組みは共通しています。以下では、全国的に共通する基本的な要件・内容について整理します。
●補助の対象となる世帯〔表1〕
まず、ご夫婦ともに婚姻日における年齢が39歳以下であることが必要です。また、婚姻日は、各自治体が定める期間内であることが条件となります。さらに、世帯年収は所得ベースで500万円未満であることが求められます。
●補助の対象となる費用〔表2〕
補助の対象となる費用は、新居の購入費、新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料、新居のリフォーム費用、新居への引っ越し費用など、新生活の住まいに関わる幅広い費用が対象となります。一方で、結婚式の費用や、業者を通さない引っ越し費用などは対象外となります。
●補助金額〔表3〕
補助金額は、ご夫婦の年齢に応じて上限額が設定されています。ご夫婦ともに39歳以下の場合は上限30万円、ご夫婦ともに29歳以下の場合は上限60万円までの補助を受けることができます。
申請手順と注意点
共通する要件・支援内容は上記のとおりですが、前述のとおり、実際に支援を受けるためには各自治体への申請が必要です。以下では、一般的な申請手順と、利用にあたって特に注意したい点を整理します。
●注意点
自治体ごとの違いに注意
制度の実施の有無や申請条件、補助対象の範囲は自治体ごとに異なり、その年によって内容が変更される場合もあります。多くの自治体では実施概要が夏ごろに公開されるため、最新情報を公式サイトで確認し、早めに情報収集をしておくと安心です。
事前準備が重要
補助金は予算枠に達すると期間内でも受付が終了します。先着順の自治体が多いため、書類を整えたうえで、できるだけ早めに申請することが望まれます。
予算上限に注意
補助金は予算枠に達すると期間内でも受付が終了します。先着順の自治体が多いため、書類を整えたうえで、できるだけ早めに申請することが望まれます。
新婚世帯が利用できるその他の支援
新婚世帯に限定された制度ではありませんが、新居の取得や住まいづくりに関係する 【フラット35】子育てプラスなどの制度(注1)もあります。同制度では、若年夫婦世帯(注2)に該当する場合、子どもがいない世帯でも金利引下げの優遇措置を受けることができ、当初5年間について年▲0.25%の金利引下げが適用されます。現金給付ではありませんが、住宅ローンの負担軽減という点で、新婚世帯にとって実質的な経済支援といえます。
まとめ
このように、新婚世帯への経済的支援として中心的な役割を果たしているのが、国の「結婚新生活支援事業」です。この制度により、家賃や引越費用など、新生活の初期費用の負担を軽減できる可能性があります。また、自治体によっては、独自の転居・家賃補助や移住と結婚を組み合わせた支援を設けている場合もあります。こうした制度の内容は地域によって大きく異なります。これから新生活を始めるにあたり、どの地域で暮らすかを考える際には、支援制度の有無もひとつの判断材料として確認してみるとよいでしょう。
(注1)新居の取得や住まいづくりに関係するその他の支援として、省エネ性能の高い新築住宅の取得やリフォームを支援する国の補助金制度もある。たとえば、「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」では、省エネ基準を満たす住宅の新築やリフォームに対して補助が行われており、新婚世帯が新居を整える際にも活用できる可能性がある。
(注2)借入申込時に夫婦(法律婚、同性パートナーおよび事実婚の関係をいう。ただし、婚約状態は対象外。)であり、夫婦のいずれかが借入申込年度の4月1日時点で40歳未満である世帯をいう。
Profile
川端 見子(かわばた まみこ)川端見子FP事務所代表
京都大学教育学部を卒業後、マネープランをほとんど立てないまま司法試験の勉強を始めたことをきっかけに「夢や目標の実現にはお金の計画が欠かせない」ことを痛感。その経験から、ライフプラン・キャリアプランと同様にマネープランの大切さを伝えるファイナンシャル・プランナー(CFP®1級FP技能士)として、全国の学校や大学、企業などで講義や研修を行い、金融経済教育の普及に取り組んでいる。


