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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2026年6月号掲載

人材不足が解決しない会社のための 補助金活用戦略

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「求人を出しても来ない」「採用できても半年で辞める」「現場の負荷が限界だ」。
人材問題は認識されていても、コスト面から後回しにされがちです。しかし、この問題の本質は採用ではなく投資にあります。
人材不足は、業務改善や育成、設備投資で改善できる課題にもかかわらず、資金の壁がそれを止めています。
その解決に補助金(助成金)は有効な手段になり得ますが、投資の方向を間違えると何も変わりません。
本記事では、その解決に必要な考え方と、補助金の活用方法を整理します。

人材不足の本当の正体

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」によると、「正社員が不足」と回答した企業は52.3%で50%を超えています。

これは一時的な採用難ではなく、少子高齢化や都市部への人口流出などによる構造問題です。大企業と比べて採用力で劣りがちな中小企業では、特に深刻な課題となっています。放置すれば、人手不足を補う既存社員に疲労が蓄積し、離職が連鎖します。採用コストは増え、業務は属人化し、組織は不安定になります。

人材不足は構造問題であるため、採用費を増やすだけでは解決しません。にもかかわらず、多くの企業は「使えそうな補助金を探す」ことから始めてしまいます。補助金はあくまで手段であり、投資の方向を誤れば状況は変わりません。

投資の前に、課題のありかを特定する

「投資が必要」と認識していても、何に投資するかを間違えれば、お金をかけても人材問題は解決しません。まず、自社の課題がどこにあるかを整理しましょう。

◎スマホでは図を横スクロールできます。

投資のための資金をどこから調達するか

◎スマホでは図を横スクロールできます。


課題と投資先が明確になったら、「使えそうな制度」ではなく、「実行する投資に合った制度」を選ぶことが重要です。左の〔表〕は、Ⅱで整理したタイプ別の補助金・助成金とその用途をまとめたものです。

タイプA向け
このタイプで必要なのは、「応募が集まる仕組み」をつくる投資です。求人広告を増やすだけでなく、採用ページの整備や応募管理のデジタル化など、採用基盤そのものを変える発想が必要になります。 重要なのは、「求人広告を増やす」ことではなく、「採用の仕組みを変える」投資をすることです。

タイプB向け
このタイプで必要なのは、「辞めない職場」をつくる投資です。採用を繰り返すコストを断ち切るために、育成体制の整備、処遇改善、正社員転換といった施策に制度を活用します。 「採用してから育てる」前提で投資全体を設計し、各制度をどのフェーズに当てるかを逆算して選ぶことが重要です。

タイプC向け
このタイプで必要なのは、「業務の標準化・自動化」によって人手依存を下げる投資です。人を増やすのではなく、今いる人員で回る体制をつくる方向に資金を使います。 まず属人化している業務を洗い出し、「何を自動化すれば最も効果が出るか」を特定したうえで制度を選ぶことが重要です。

資金が動いても組織が動かない理由

補助金を活用しても成果が出ない原因は一つです。投資の目的が曖昧なまま進めてしまうことです。「使えそうだから申請する」では組織は変わりません。課題と手段を先に定めることが前提です。
実行時の注意点は2つです

●自己負担分を含めた資金計画と効果測定を事前に設計する
●申請・報告に伴う事務負荷を見込む


補助金はあくまで手段です。投資の設計が先にあって初めて機能します。

制度を使いこなす会社の共通点

補助金をうまく活用している会社には、一貫した考え方があります。

まず、「課題↓投資↓資金」の順序を崩しません。制度は最後に選ぶものです。この順序を逆にすると、制度に振り回されるだけで組織は変わりません。

次に、単年度で完結させようとしません。「今年は何に投資し、来年は何を整備するか」という順序で計画を描くことで、各フェーズに使える制度を逆算して組み込めます。そして、採択をゴールにしていません。生産性の改善、定着率の向上、採用コストの削減。補助金はそこへ向かうための引き金であり、それ自体が目的ではないという認識が、活用の質を分けます。

人材不足は、認識しているだけでは変わりません。必要な投資を特定し、資金を確保し、実行する。その一歩が、じわじわと広がる損失を止めます。「後回し」にしてきた投資があるなら、2026年度の制度を使いながら、今年こそ動き出しましょう。



※本記事内で紹介している各制度は変更・終了となる場合があります。最新の情報をご確認ください。

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