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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年12月号掲載

年金の繰下げ受給「50人に1人」しか利用していない?

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繰下げ受給の利用者は意外と少ない

年金は原則65歳からもらえますが、受け取りを開始する年齢は60歳から75歳の間で選ぶことができます。このうち、年金をもらう時期を遅らせる繰下げ受給を利用すると、1か月遅らせるごとに0.7%、最大10年遅らせることで、84%ももらえる年金額を増やすことができます。

しかし、利用している人は少ないのが実情。厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、令和3年度(2021年度)において国民年金(老齢基礎年金)の繰下げ受給を選択した人の割合はわずか1.8%。その5年前の平成29年度は1.3%ですから、多少は増えているものの、それでもおよそ50人に1人しか利用していないのです。

一方で、65歳より前に年金をもらう、老齢基礎年金の繰上げ受給を選択している人の割合は11.2%(令和3年度)ですから、およそ9人に1人です。繰上げ受給では、早くもらうほど年金額が減ってしまう(1か月あたり0.4%(1962年4月2日以降生まれの場合))にもかかわらず、繰下げ受給よりも多くの人が利用していることがわかります。

繰下げ受給が利用されていない理由はいくつか考えられます。たとえば「どうせ長生きしない」と思っていたら、なるべく早く年金をもらったほうが損をしないと思われるかもしれません。また、60歳で定年を迎えたあとに仕事をしない場合、年金をもらいはじめるまでの期間は無収入ですから、65歳から年金をもらったり、あるいは繰上げ受給を選んだりすることもあるでしょう。年の差夫婦がもらえる場合に受給できる加給年金をもらうために、繰下げ受給をしないという方もいるかもしれません。

しかし、令和4年簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は男性で約81歳、女性で約87歳ですし、90歳、100歳と長生きする人も珍しくはない時代です。年金は長い老後に備える保険だと考えれば、繰下げ受給によって金額を増やしておくことは有効な選択肢といえます。

もちろん、最終的に繰下げ受給をした方がよかったのかどうかは、極端にいえば亡くなるときまでわかりません。しかし、繰下げ受給をすることを想定しながら、老後のお金を用意したり、定年退職後も働いて収入を得たり、生活を見直したりしておくことで、老後を安心して迎えることができるでしょう。

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