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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年3月号掲載

見えない杖

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生命保険文化センター賞

東京都 東京学芸大学附属小金井中学校
一学年 髙畑 日奈子(たかはた ひなこ)

「今日、保険に入ったよ。」

父が、夕食のときに話し始めました。

「日奈子も中学生になったし、万が一に備えて加入したんだ。」

と言葉を続けました。私は一体何のことだろうと思い、

「保険って何?」

と聞いてみました。私の質問に父は、事前にお金を積み立てることで、病気やケガで今までどおり父が仕事をできなくなったときに生活できるお金を支給してくれる制度だ、と説明してくれました。

私は、父の説明だけではよく分からなかったので、自分でも調べてみました。事故、病気やケガなどの〝もしも〟が現実に起きてしまった場合に、お金の面で困らないようにたくさんの人が少しずつお金を出し合い、集まったお金を〝もしも〟が起こってしまった人が受け取ることで経済的に助けあうことだということがわかりました。日本では、明治時代に福沢諭吉が欧米の〝近代的保険制度〟を紹介したけれど、当時は「人の生死によって金儲けをするのか」となかなか広がらなかったことも分かりました。

翌朝から父はランニングを始めました。ものぐさで今まであまり運動をしてこなかった父が、唐突に運動を始めたので、母になぜ急に運動を始めたのか聞いてみました。すると母には、恥ずかしそうに「健康を維持したいから」と話したとのことでした。

私は『あっ』と思いました。父は保険に入ったことでこれからの人生のリスク〝もしも〟を再認識したのではないでしょうか。家族を守るため、悲しい思いをさせないため、そのために何よりも自分自身の健康を守らなくてはいけないと思ったのではないでしょうか。

保険は困ったときに支えてくれるという大きな力があると共に、病気の予防やケガの防止のための意識付けをしてくれるもの、まさに見えない杖のような存在に感じました。

明治時代には人々が誤解してしまった保険という制度は、今や全世界に広がり、強く支持されています。また、一人ひとりの状況や要望に見合った保障ができるよう、細分化し、進化した制度として社会を支える頼もしく、そして力強い杖になっています。だからこそ〝もしも〟のときのために保険に入るとき、それと同時に自分の大切な人のためにみんなが自分の健康を考える大切な機会になればいいな、と思いました。

父がランニングを始めてから、もうすぐ五カ月になります。長続きしないのではないかという予想に反して、少し日焼けした顔に笑顔を浮かべて、心なしかへこんだお腹をさすりながら今朝も父はランニングに出かけます。そんな父の後ろ姿に、普段あまり父と話さない私は、

『家族のことを大切に考えてくれて、ありがとう。』

と心の中でつぶやきました。そして、今は照れ臭くてなかなか言えませんが、いつか父にちゃんと

「いつまでも元気でいてね。」

と伝えたいと思います。

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