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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年2月号掲載

マイナンバーカードと健康保険証

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3月から、マイナンバーカードが健康保険証のかわりに利用できるようになるというニュースをみました。まだマイナンバーカードを作っていないのですが、マイナンバーカードがないと診察を受けられなくなるのでしょうか。既存の保険証は使えなくなってしまうのですか。

健康保険証が使えなくなるわけではありません。病院などでマイナンバーカードを提示すれば、保険証の提示は不要になるということであり、これまでどおり保険証の提示による受診も可能です。

事前の手続きが必要

3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになりますが、いくつかの点に注意が必要です。まず、自動的に保険証の機能が付加されるわけではなく、事前の手続きが必要ということです。マイナポータルのサイトで健康保険証として利用できるように登録して、はじめて保険証のかわりに利用できるようになります。

また、すべての医療機関や薬局でマイナンバーカードが使えるようになるわけではありません。政府は3月時点でマイナンバーカードが利用できる医療機関等の割合について、6割の目標を設定しています。逆にいうと少なくとも4割は利用できないということになります。

ところで、そもそも健康保険証は何のためにあるのでしょうか。身分証明書として利用されることもありますが、本来は、医療機関等が個々の患者が加入している公的医療保険と患者個人を特定することを目的にしています。

私たちは病院で診療を受けた場合に、医療費のうち原則として3割の自己負担分を支払いますが、残りの7割は病院が各公的医療保険の保険者に請求します(実際には個別に請求するのではなく、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会を通じて請求します)。そのためには、その患者がどの公的医療保険に入っているのか(A健康保険組合なのかB健康保険組合なのか、それとも協会けんぽなのか、また国民健康保険の場合は、どの自治体の国保なのか)を知る必要があり、それを健康保険証で確認しているのです。

限度額適用認定証が不要に

健康保険証には、「保険者名称」と「保険者番号」が記載されています(通常カードの下部に書かれています)。すべての保険者に番号が割り振られていて、個々の患者がどの公的医療保険の加入者であるかわかるようになっています。

さらに、カードの上部には「記号」「番号」が記載されています。「記号」(といっても実際には番号なのですが)は、健康保険組合の場合は組合ごとに、協会けんぽの場合は年金事務所の管轄ごとに、国民健康保険の場合は自治体ごとに割り振られています。「番号」は個々の加入者に割り振られている番号です。これらにより、医療機関は個々の患者を特定することができ、これらの情報をもとに7割分の診療報酬を請求しているのです。

マイナンバーカードが保険証として利用できるようになるということは、これらの情報をマイナンバーカードを通じて医療機関等が取得できるようになる、ということにほかなりません。

なお、マイナンバーカードを保険証として利用することのメリットとして、高額医療費の現物給付を受けるための限度額適用認定証が不要になる、ということを指摘しておきたいと思います。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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