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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年12月号掲載

出産時の国民健康保険料の免除

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近く出産を控える者です。夫は自営業者で私もその仕事を手伝っています。出産前後の期間、国民年金の保険料が免除されると聞きました。また、国民健康保険の保険料も免除されるようになるというニュースをみました。具体的にはどれくらいの期間、免除されるのでしょうか。

2024年1月分(※注)から、出産前後の国民健康保険料が減免されるようになります。すでに国民年金の保険料は出産月の前月から4か月分が免除される扱いになっています。国民健康保険も同じように4か月間免除されるようになります。

(※注)すでに、ごく一部の市町村や健康保険組合では独自に産前産後期間の保険料を減免しています。

出産前月から4か月

2024年1月に国民健康保険料の産前産後期間の免除制度が導入され、国民年金保険料とともに国民健康保険料も、出産(予定)月の前月から、出産(予定)月の翌々月までの4か月分(※注)が免除されるようになります。

(※注)多胎妊娠の場合は、出産(予定)月の3か月前から6か月間、免除されます。

もっとも、国民年金では、被保険者一人ひとりが保険料を納付します(したがって、出産する(した)人の分はまるまる免除されます)が、国民健康保険は、世帯単位でその世帯の被保険者全員分の保険料が計算され、世帯主がまとめて納めることになっています。そこで、世帯に出産する(した)被保険者がいる場合、世帯主が納める保険料の一部(出産する(した)人の保険料に相当する額)が減額されることになります。

なお、保険料の免除は自動的に行われるわけではなく、免除を受けるためには手続きが必要です。すでに免除の扱いがある国民年金の場合、市区町村に届け出が必要です。手続きは出産予定月の6か月前からできますが、出産後であっても届け出は可能です。出産後に届け出る場合、免除される期間の保険料をすでに納めていたときは、還付されます。国民健康保険の免除の手続きは、本原稿執筆時点では明らかではありませんが、国民年金と同じになるものと思われます。

なお、国民健康保険料の免除制度は2024年1月にスタートしますが、出産月の翌々月分まで免除されることから、2023年11月以降に出産した場合が対象になります(11月出産の場合は翌々月の1月分のみ免除されます)。

会社員には育休期間の免除も

ところで、国民健康保険、国民年金の保険料を納めているのは自営業者やその家族などですが、会社員などが保険料を納めている健康保険、厚生年金保険にも同様の保険料免除制度があります(表参照)。

さらに健康保険、厚生年金保険には育児休業中の保険料免除制度も設けられています。自営業者やその配偶者の育児期間中の保険料免除制度は、いまのところありませんが、少子化対策として導入が検討されています。近い将来、免除されるようになる可能性もありそうです。

なお、表に掲げた国民年金、厚生年金保険料の免除期間は、将来の年金額の計算上は保険料を納めた期間として扱われます(したがって、免除を受けることにより年金額が減ることはありません)。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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