公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年8月号掲載

所得によって免除される国民年金保険料(後編)

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先月号の説明で、収入が減った場合、国民年金の保険料の免除申請をしたほうがいいということを知りました。たんに保険料を滞納している場合と、きちんと手続きをして免除を受けるのとでは、どのような違いがあるのですか。

滞納と免除では、①年金が支給されるかどうかの判定、②老齢基礎年金の支給額の計算の2点において取扱いが異なります。いずれの点においても、免除申請を受けた場合、滞納よりも有利に扱われます。

滞納と免除の違い

保険料の未納期間(注1)が長い場合、年金が受給できないことがあります。

まず、老齢年金を受給するためには、保険料を納めた期間が10年必要です。10年に満たない場合、老齢年金はまったく支給されません。この10年の期間は実際に保険料を納めた年数だけでなく、免除期間も含めてカウントできることになっています(もちろん未納期間は含めることはできません)。年金が受給できるかどうかの判定において、免除期間は保険料を納めた期間と同様に扱われるのです。

もっとも、国民年金の加入期間は20歳から60歳になるまで40年間とされていますから、そのうち10年納めればいい(逆にいうと30年は未納でも年金は支給される)ので、問題になることはそれほどないでしょう。問題になることが多いのは、障害年金や遺族年金です。

障害年金や遺族年金は、過去1年間に保険料の滞納があると支給されないことがあります(注2)。免除期間はこの場合も保険料を納めた期間と同様に扱われますので、過去1年間に免除期間があっても(他の要件を満たしていれば)支給されないことはありません。この点で滞納と免除では大きな違いがあります。

(注1)国民年金の保険料を納期限までに納めず、滞納した場合、過去2年分まではさかのぼって納めることができますが、それより前の分は納めることができません。したがって、2年を超えて滞納しているとその期間は「未納期間」として確定します。

(注2)過去1年間に滞納があっても、過去の被保険者期間のうち保険料納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上ある場合は(他の要件を満たせば)支給されます。

全額免除でも半額支給

滞納と免除のもうひとつの違いは、老齢基礎年金の額に反映されるかどうか、です。老齢基礎年金は「78万900円×保険料納付済期間の月数÷480」で計算されます。すなわち、20歳から60歳になるまでの40 年間(480月)、すべて保険料を納付していれば78万900円が支給されます。かりに保険料納付済期間が30年間(360月)で、残りの10年間が未納の場合は、78万900円の4分の3が支給されます。

免除期間の老齢基礎年金の額への反映割合

反映割合
全額免除期間の月数 2分の1
4分の3免除期間の月数 8分の5
半額免除期間の月数 4分の3
4分の1免除期間の月数 8分の7

(注)2009年4月以降の免除期間の反映割合。それより前の免除期間は反映割合が異なる。

この計算上、保険料免除期間は、その一定割合を「保険料納付済期間の月数」に加えることになっています。たとえば、全額免除期間は、その月数の半分を保険料納付済期間の月数に加えて計算します。かりに、保険料納付済期間が360月、全額免除期間が120月とすれば、計算上の「保険料納付済期間」は420月(360月+120月×1/2)となります。

もし、40年間、ずっと全額免除の申請をしていた場合は、480月の2分の1、240月が「保険料納付済期間」となりますので、まったく保険料の負担なく78万900円の半額が支給されることになります。

これに対して未納期間は、当然のことですが、年金額にはまったく反映されません。保険料を納めていないという点は同じでも、滞納(未納)と免除ではこれだけの違いがあります。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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