公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年9月号掲載

在職による年金カット、縮小へ

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昭和33(1958)年10月生まれの会社員(男性)です。今年(2021年)10月に満63歳になり、老齢厚生年金が支給されるようになりますが、年金がもらえるようになっても働いていて収入があると年金が減額されて少なくなってしまうと聞きました。具体的にはどのような仕組みなのでしょうか。

月給と本来の年金額(月額)の合計が28万円を超えると減額されます。給与の額が多いときは、年金の全額がカットされ、ゼロになることもあります。この28万円の基準は2022年4月に、47万円に改められます。

「年金+給与」が28万円以上で減額

老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者として働きながら受給する場合、一定の計算方法によって減額されることになっています。その計算方法は65歳未満と65歳以上とで異なり、65歳未満の場合、給与(注1)と年金額(月額)の合計が28万円を超えると超えた金額の2分の1がカットされます(注2)。

たとえば年金が月額10万円の場合、月給が18万円以下であれば合計で28万円以下なので、減額されることはありません。月給が20万円であれば、年金と給与の合計30万円から28万円を引いた2万円を2分の1にした1万円が減額され、本来10万円の年金は9万円しか支給されません。月給が40万円の場合は減額が11万円(=(50万円-28万円)÷2)となり、年金額10万円を上回りますので、全額が支給停止されます。

(注1)正確には、標準報酬月額と「過去1年間の標準賞与額の合計÷12」の合計額(総報酬月額相当額)。賞与がなければ、おおむね月給の額となる。

(注2)年金(月額)28万円以下、かつ総報酬月額相当額47万円以下の場合。それ以外の場合は異なる計算方法になっている。

2022年4月に基準緩和

65歳以上の場合、この28万円の基準は47万円(注3)となっています。すなわち、65歳以上のほうが減額の基準が緩くなっています。65歳未満の場合も来年(2022年)4月に28万円基準が47万円基準に変更されます。これにより、相談者の場合、来年4月分(支給は6月)以降、年金額が増える可能性があります。

先ほどの年金(月額)10万円の例では、月給が20万円の場合、現在は1万円カットされますが、来年4月分以降は、年金と月給の合計が47万円以下に収まるので減額はなくなり10万円がまるまる支給されるようになります。月給40万円の場合は、合計で47万円を超えるので減額は続きますが、減額されるのは1.5万円(=(50万円-47万円)÷2)にとどまります(年金額はゼロであったものが8.5万円になります)

なお、この変更は2022年4月1日時点ですでに65歳以上になっている人には関係ありませんので、1957年4月2日以降に生まれた人が対象です。また、そもそも65歳未満で老齢厚生年金が支給されるのは、男性は1961年4月1日以前生まれ、女性は1966年4月1日以前生まれの人なので、この改正の恩恵を受けるのは、一部の人に限られますが、対象者にとっては大きな恩恵です。

(注3)法定額は48万円であり、名目賃金変動率に応じて毎年度改定される。47万円は2021年度の額。したがって、2022年度は47万円ではない可能性もある。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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