公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年12月号掲載

支給停止は老齢厚生年金だけ

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2021年9月号で、「年金がもらえるようになっても働いている場合、給与が多いと年金額が減らされる、また、来年(2022年)4月からはその基準が緩やかになる」と説明されていました。そもそも(基本的な質問ですが)カットの対象になるのは老齢厚生年金のみと考えていいのでしょうか。給与がいくらであっても老齢基礎年金は減額されることなく支給されますか。

在職による年金の減額は老齢厚生年金が対象です。老齢基礎年金は、収入がいくらあろうとも減額されることはなく、支給されます。

老齢基礎年金は全額支給

公的年金制度は「2階建て」です。すべての人が対象の老齢基礎年金に加え、会社員など厚生年金保険に加入していた人は老齢厚生年金が受給できます。在職による年金カットの仕組みは2階部分の老齢厚生年金内部の話であって、老齢基礎年金には関係ありません。したがって、老齢厚生年金が全額支給停止になるような場合(すなわち、たくさん稼いでいる場合)であっても、老齢基礎年金はまるまる支給されます。

また、在職による支給停止の仕組みがあるのは、老齢年金だけであり、障害年金や遺族年金は収入がいくらあってもその額がカットされることはありません(注1)。なお、遺族年金は、支給対象者である遺族の収入が一定額を超える場合、そもそも受給することができませんが、一度受給が開始されれば、その後収入が増えても減額されることはありません。

老齢年金に話を戻すと、老齢厚生年金には配偶者がいる場合、一定の要件の下、加給年金が加算されますが、この加給年金部分は減額の対象外となっています。ただし、加給年金を除く本体部分が全額支給停止になる場合は、加給年金も支給停止となります(注2)。本体部分が減額されて一部が支給される場合は、加給年金額は本来の額(39万500円)が全額加算されます。

(注1)ただし、例外的に、20歳前の障害による障害基礎年金は所得が一定額を超える場合、全額が支給停止される。

(注2)老齢厚生年金のうち経過的加算の部分については減額の対象にはならない。したがって、加給年金が支給停止となるのは、正確にいうと「経過的加算を除く本体部分」の全額が支給停止となる場合である。

自営業ならカットなし

ところで、いくら収入があっても老齢厚生年金がカットされないケースがあります。というのは、老齢厚生年金の在職による支給停止が適用されるのは、厚生年金保険の被保険者として働いていて給与を得ている場合に限られるからです(注3)。

いいかえると、パートタイマーで厚生年金保険に加入せずに働いている場合は支給停止の対象にはなりません。自営業で働いている場合も対象外です。その場合は、いくら収入が多くても老齢厚生年金はカットされることなく全額支給されます。また、株式の配当や不動産の賃貸による収入がいくらあっても、厚生年金保険の被保険者でなければ関係ありません。年金減額の仕組みは厚生年金保険の内部で完結しているのです。

(注3)ただし、70歳以上の人はそもそも厚生年金保険の被保険者の対象ではないが、70歳以上であっても、70歳未満であれば厚生年金保険の被保険者となる雇用形態で働いている場合(すなわちフルタイムで働いている場合など)は在職による支給停止の対象になる。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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