公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2022年1月号掲載

年金を何歳から受け取るか(前編)

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今年(2022年)4月から、老齢年金の繰下げ受給の年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられると聞きました。そもそも、年金の繰下げとはどういうことですか?繰下げにより年金額が増えるということですが、本当に有利なのでしょうか?

老齢基礎年金も老齢厚生年金も原則として65歳から支給が開始されますが、受給開始を66歳以降にすることが可能です。これを「繰下げ」と呼んでいます。その場合、受給し始めるのが遅くなるほど、年金額が増えます。ただし、受給する年数が短くなりますから、必ずしも繰り下げたほうが有利である、とはいえません。

70歳受給開始なら60歳開始の2倍に

原則として65歳支給開始の老齢年金は、本人の希望により、60歳から70歳(2022年4月以後は75歳、注1)までのいずれかの時期に受給開始をずらすことができます。65歳前に受給を開始することを「繰上げ」、66歳以降に受給を開始することを「繰下げ」と呼びます。

繰上げの場合は早くから受給する代わりに年金額が少なくなり、逆に繰下げの場合は多くなります。繰上げの場合の減額率は「繰上げ月数×0.5%(注2)」で、繰下げの場合の増額率は「繰下げ月数×0.7%」です。たとえば、60歳から受給する場合、60月(5年)繰り上げることになるので、30%(=60×0.5%)減額されます。繰り下げて70歳から受給する場合は42%(=60×0.7%)増額されます。かりに本来の年金額(65歳から受給開始したときの額)が100万円であれば、60歳から受給すれば70万円に、70歳から受給すれば142万円になり、倍以上の額となります。

こうみると、繰下げは有利なように思えますが、70歳から受給するということは、60歳から受給した場合に比べ受給期間が10年間短かくなりますから、どちらが有利かは一概にはいえません。年金財政の点からみると、早く受け取り始める人や遅く受け取り始める人がいても、全体としての年金支給額は変わらないように増額率、減額率が決められています。

あらかじめ決める必要はない

ところで、年金を繰り下げて受給しようとする場合、あらかじめ何歳から受け取る、と決める必要はありません。65歳で受給する権利が生じたときに請求手続きをせず、66歳以降の好きなときに請求すればその時点から増額された年金が受け取れます。

また、65歳時点で請求をしなければ、その後、65歳以降の分をまとめて受け取ることも可能です。たとえば、70歳になったときに、さかのぼって65歳以降の分を請求すれば5年分が一時金として支給されます(この場合は、65歳から受給したことと同じですから、その後受け取る年金も増額はありません)。なお、5年を超えてさかのぼる分は時効により消滅しますので注意が必要です。

すなわち、65歳時点で請求しなければ、その後、65歳にさかのぼって受け取るか、請求時点から繰下げで増額された年金を受け取るかを選べるということです。本来受け取れる年金を受け取らずに貯金していたと考えることもできます(ただし利息はつきませんが)。

(注1)2022年4月1日以後に70歳になる1952年4月2日以後生まれの人は75歳までの繰下げが可能になる。75歳から受給を開始する場合、増額率は84%(120×0.7%)になる。

(注2)2022年4月1日に減額率は0.4%に変更されるが、対象者は同日以後に60歳に達する1962年4月2日以後生まれの人であり、同日より前にすでに繰り上げて受給を開始している場合や1962年4月1日以前生まれの人が2022年4月1日以後に繰り上げる場合は、増額率は0.5%のままで変わらない。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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