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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2022年7月号掲載

在職中、毎年10月分から年金増額

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66歳の会社員です。65歳を過ぎても引き続き再雇用制度によりフルタイムで働いています(給料はだいぶ下がりましたが)。すでに年金を受給していますが、制度改正により、在職中に支払った厚生年金の保険料が年1回、年金額に反映されるようになったと聞きました。具体的にはどのような仕組みなのですか。

厚生年金に加入して働きつつ年金を受給している場合、従来は、受給開始後に支払った保険料は、退職するか70歳になったときにはじめて年金額に反映されていましたが、2022年4月に法改正があり、毎年1回、それまでに払った保険料が年金額に反映されることになりました。したがって、働いている間は、毎年、年金が少しずつ増えることになります。

1年分の保険料を反映

老齢厚生年金の額は、受給開始時点の加入期間とそれまでに支払った保険料により計算されることになっていて、受給開始後も厚生年金に加入している場合であっても、受給開始後に支払った保険料はその都度年金額に反映されるわけではありません。

従来は、退職して厚生年金の被保険者でなくなったとき、または70歳になったとき(70歳になると働いていても厚生年金の被保険者ではなくなります)に、はじめて受給開始後の加入期間と保険料が反映されて年金額が改定されることになっていました。

2022年4月にこの仕組みが改められ、年1回、それまでの加入期間と保険料を反映して年金額が改定されることになりました。具体的には、毎年9月1日を基準日として、前月の8月分までを含めた被保険者期間に基づいて年金額が計算され、10月分から年金額が改定されます。したがって、在職中も毎年10月に原則として1年間の保険料に相当する分、年金額が増えることになります。なお、10月分の年金は11月分と合わせて12月に支給されるので、実際に増えるのは12月支給分からとなります。

60歳台前半には適用されない

グラフはこの仕組みをイメージとして示したものです(70歳になるまで働いていた場合)。
改正前の仕組みでは、70歳になるまで年金額は変わらず(70歳になるまでは青色の部分のみ)、70歳になったときにはじめて65歳以降の5年分の保険料が反映されて年金額が増加することになっていました。改正後は毎年、小刻みに年金額が上がっていきます。
マルで囲んだ部分は従来であれば支給されなかったのですが、改正により支給されるようになった部分です。

増えるといっても1年分の保険料に相当する額ですから大きな金額ではありません。たとえば月給(標準報酬月額)30万円の場合、増加額は年額で2万円弱です。

なお、この毎年改定の対象は65歳以上の人です。60歳台前半に支給されている特別支給の老齢厚生年金にはこの仕組みは適用されず、従来どおりの取扱いのままです。すなわち、特別支給の老齢厚生年金を受給しながら働いている間は、退職するか、または65歳になって特別支給の老齢厚生年金が本来支給の老齢厚生年金に切り替わるときにかぎって、受給開始後の被保険者期間が反映され年金額が改定されます。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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