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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2022年8月号掲載

パートの社会保険加入が拡大

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パートタイマーとして働いている主婦(38歳)です。会社から、「10月以降、社会保険に加入することになる」といわれました。夫は会社員であり、社会保険上の扶養に入るように年収130万円に納まるように働いているのですが、10月からルールが変わるのでしょうか。

10月にパートタイマーの社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入対象の範囲が広がります。現在は「1週間の労働時間が20時間以上」などの要件を満たす場合、従業員数が500人超の企業に限って社会保険の加入対象になっていますが、10月1日に「500人超」が「100人超」に変更されます。したがって、社員数が500人以下(かつ100人超)の会社にパート勤務している場合、質問者のように新たに社会保険に加入するケースが生じます。

「100人超」の企業に拡大

パートタイマーの社会保険については、「週の所定労働時間が20時間以上」「給与が月額8.8万円以上」などの要件を満たす場合に加入対象とされています。ただし、前提として、現在は「従業員数500人超」の企業に勤務している場合に限られています(注)。


(注) 週の所定労働時間と月の所定労働日数の両方が正社員の4分の3以上である場合は、勤務する企業の従業員数等にかかわらず、加入対象とされています。


この「500人超」の企業規模要件が10月に「100人超」に変更されます。10月以降、表に示した要件をすべて満たすパートタイマーは社会保険の加入対象になります。なお、企業規模要件はさらに、2024年10月に「50人超」に変更されることがすでに決まっています。

〈表〉パートタイマーの加入対象者の要件
(2022年10月以降)

① 従業員数が100人超の企業に勤務している
② 週の所定労働時間が20時間以上である
③ 給与月額が8.8万円以上である
④ 勤務期間の見込みが2カ月超である
⑤ 学生ではない

質問者の場合、夫が会社員で、自らは年収130万円未満ということですから、現在、健康保険では「被扶養者」、年金では国民年金の「第3号被保険者」という扱いになっています。

表の③のとおり、社会保険の加入対象となるパートタイマーの収入要件は月額8.8万円以上ですから、年収にすると約106万円です。したがって、130万円未満であっても106万円以上である場合は、自らが社会保険の被保険者となるわけです。

保険料負担は生じるが……

「被扶養者」「第3号被保険者」の場合と自らが被保険者になる場合の最大の違いは、後者では保険料の負担が生じることです。もし、保険料の負担を避けたいのであれば、130万円ではなく「106万円の壁」を超えないように、労働時間(給与)を調整することが必要になります。

これまでどおり、保険料の負担のない「被扶養者」「第3被保険者」に地位を維持するのか、それとも「壁」を越えて社会保険の被保険者になるのか —— 10月からの加入対象者の拡大は、このことに頭を悩ませる人が増えることを意味します。

目先の手取収入を考えれば保険料負担はたしかに重荷ですが、長期的に、あるいは広い視野でみれば、自らが被保険者として社会保険に加入することには、さまざまなメリット —— 将来の年金額が増える、病気などで仕事を休んだときに傷病手当金が給付されるなど —— があります。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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