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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年8月号掲載

「20歳になったら国民年金」 —— どうする保険料?

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子供が20歳になり、日本年金機構から国民年金の保険料の納付書が送られてきました。本人は20歳といっても大学生であり、アルバイトによるわずかな収入しかありません。それでも保険料を払う必要はあるのでしょうか。同封のパンフレットによれば、保険料の納付猶予制度があるとのことですが、猶予を受けるとデメリットはありますか。

20歳以上(60歳未満)の人は国民年金への加入が義務づけられています。したがって保険料を払う必要はありますが、多くの学生は収入がないか、または少ないことから、「学生納付特例」という猶予制度が設けられています。もちろん、保険料を納付してもいいのですが、納付猶予の特例の適用を受けてもデメリットはなく、むしろメリットがあります。

親の所得に関係なく猶予

かつては、20歳になったときには、各自、国民年金に加入する手続きを行うこととされていました。ところが実際には手続きをする人が少なかったので、いまでは自動的に加入する扱いになっています。そこで、「20歳になったから国民年金の被保険者になりました。だから、保険料を払ってください」という手紙が日本年金機構から届きます。

この手紙には、さまざまなものが同封されていますが、重要なものは、「基礎年金番号通知書」と、学生の場合は「学生納付特例申請書」です。

基礎年金番号はすべての年金加入者に割り振られる固有の番号です。年金の手続きはマイナンバーで行うのが一般的ですが、日本年金機構などではこの基礎年金番号(マイナンバーと紐づけされています)により管理していますので、たいせつに保管することをお勧めします。

さて、学生であっても保険料を納める必要があるか、との質問ですが、教科書的な答は「必要がある」ということになります。しかし、学生には納付猶予の特例(学生納付特例)があり、実際に多くの学生がこの特例の適用を受けていて(注)、保険料を納付していません。

学生納付特例は、本人の所得が少なくとも128万円以下であれば適用を受けることができます。親の所得の制限はありませんので、学生自身に多額の収入がなければ保険料納付が猶予されます。

(注)学生のうち、63.9%が学生納付特例の適用を受けています。保険料を納付している人の割合は24.5%です(令和2年国民年金被保険者実態調査)。

適用を受ける手続きは必要

ただし、特例の適用を受けるためには手続きが必要です。「学生納付特例申請書」に必要事項を記入し、返信用封筒で送付すれば手続きは完了です(学生証のコピーの添付が必要です)。手続きは毎年必要ですが、2年目からははがき形式の簡易な申請書が送られてきますので、それを返送すれば済みます。

特例適用の手続きをすれば保険料を納付しなくてもなんのお咎めもありません。将来受け取る老齢基礎年金は納付しなかった期間に応じて少なくなりますが、猶予された保険料を後から支払うこともできます(そうすれば年金が少なくなることはありません)。

もし特例適用の手続きをせず、保険料を納めなければ「未納」となり、たとえば障害者になった場合に障害年金の受給要件を満たせず受給できないなどの不利益が生じる可能性があります(特例の適用を受けていればこうした不利益は生じません)。したがって、保険料を納めないのであれば、忘れずに学生納付特例の手続きをすることが必要です。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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