公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年10月号掲載

相続税対策の 王道に暗雲!?

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時間をかけて少しずつ子や孫に贈与することで相続財産を確実に減らす —— 生前贈与は相続税対策の王道ともいえる方法だ。ただ、相続税と贈与税の一体化が検討されていて、その先行きには暗雲がたれこめる。

長く少しずつが効果的

A 相続税対策として生前贈与を検討する人は多いけれど、贈与税と相続税を比べると、特例などを考慮しなければ、じつは贈与税のほうが負担は大きい。表1に贈与税と相続税の税率を比較した。両方とも税率は10%から55%までの超過累進課税となっているが、贈与税のほうが上昇のカーブが急になっている。

表1贈与税と相続税の税率の比較

課税価格(注1) 税率
贈与税(注2) 相続税
200万円以下の部分 10% 10%
200万円を
超える部分
15% 10%
400万円を
超える部分
20% 10%
600万円を
超える部分
30% 10%
1,000万円を
超える部分
40% 15%
1,500万円を
超える部分
45% 15%
3,000万円を
超える部分
50% 20%
4,500万円を
超える部分
55% 20%
5,000万円を
超える部分
55% 30%
1億円を超える部分 55% 40%
2億円を超える部分 55% 45%
3億円を超える部分 55% 50%
6億円を超える部分 55% 55%

(注1)贈与税では基礎控除等を控除後の金額。相続税では基礎控除を控除後の金額を法定相続分どおりに各相続人に按分した金額。

(注2)20歳以上の人が親や祖父母から贈与された場合の税率。

B 超過累進税率ってどういうことですか?

A 課税のベースとなる金額が大きくなればなるほど税率が高くなる仕組みだよ。相続税も贈与税もその仕組みは同じだけど、贈与税のほうが急激に税率が上がっていく。たとえば、基礎控除などを引いた後の金額が3000万円の場合、贈与税は50%だが、相続税は20%で済む。相続税の計算は複雑で単純には比較できないが、贈与税の負担のほうが大きいということは覚えておいたほうがいい。表2は、贈与額に応じて贈与税がいくらになるか、その負担率をまとめたものだけど、3000万円を贈与すると1000万円以上が税金として持っていかれる。

B ずいぶんですね。そうなると、本当は生前贈与などしないで、相続が起こるまで待って相続税を払ったほうが有利ということですか?

A 必ずしもそういうことではないよ。実際に相続税対策としての生前贈与はポピュラーに行われているしね。要は、贈与税の負担を抑えて生前贈与をすることなんだ。長年かけて、少しずつこまめに贈与すれば効果は大きい。

B 基礎控除の110万円以下なら無税で済むし……。

A そう、基礎控除110万円は、1年間 —— 1月1日から12月31日までの贈与について、贈与を受ける人ごとに、毎年、控除できる。この控除枠を使ってこまめに何回も —— 長年かけて複数の子どもや孫に贈与すれば結果的に大きく相続財産を減らせる。基礎控除以下の贈与ではなく、110万円を超えて多少の贈与税を払っても、相続税の負担より贈与税の負担が少なければ、やはり効果的に相続財産を減らせる。

表2

20歳以上の人が親や祖父母から贈与
を受けた場合の贈与税額とその負担率

贈与額 税額 税負担率(注)
100万円 0万円 0%
150万円 4万円 3%
200万円 9万円 5%
300万円 19万円 6%
400万円 33.5万円 8%
500万円 48.5万円 10%
1000万円 177万円 18%
1500万円 366万円 24%
2000万円 585.5万円 29%
3000万円 1035.5万円 35%
4000万円 1530万円 38%
5000万円 2049.5万円 41%

(注)贈与額に対する税額の割合(1%未満四捨五入)。

税制改正で生前贈与は……

B それじゃ、やっぱり生前贈与は相続税対策として有効ということですね。

A それはそうなんだが、ちょっと雲行きが怪しくなってきているんだ。

B どういうことですか?

A 生前贈与の効果が無くなるような税制改正が行われる可能性がある。

B それはたいへん!具体的にはどのようになりますか?

A 具体的な内容はまだわからないけど、相続税と贈与税を一体化する方向で議論が進められているようだ。

B 「一体化」ですか……。

A そもそも相続税と贈与税は親戚みたいなものなんだ。両方とも無償での財産の移転の際にかかるもので、違いは死亡により財産が移転したか、生きているうちに財産が移転したかという点 —— 前者であれば相続税の対象になるし、後者であれば贈与税の対象になる。

B なるほど……。

A そして、贈与税のほうが相続税より負担が多くなっているのは、もし贈与税の負担のほうが小さければ、税負担上、生前贈与のほうが確実に有利でだれも相続税を払う人はいなくなってしまうからなんだ。

B それで、一体化するというのは?

A 財産の移転の時期によって税負担が変わらないようにする方向で考えられているようだよ。ただ、今時点では改正の有無を含めなにも確定はしていない。もし改正があるとすれば、年末にかけての来年度の税制改正の議論のなかで明らかになる見通しだ。報道などに注目しておくといいよ。

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