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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年10月号掲載

不動産に対する相続税の計算方法

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不動産投資が相続税対策につながることはよく知られている。なぜ、不動産が節税に結び付くのか。不動産に対する相続税はどのように計算されるのか。タワーマンション購入による節税規制の導入を前に、不動産への相続税課税の仕組みの基本を解説する。

いくらに「評価」するかが問題

A 相続税は相続した財産の金額に応じて課税されるが、相続財産のなかでも不動産は高額であることが多いので、不動産を相続した場合、相続税の負担も大きくなることが少なくない。

B でも、不動産投資によって相続税が節税になるという話もよく聞きます。そういう話は不動産会社のセールストークに過ぎないということでしょうか。

A そうとも限らない。たしかに、亡くなった人が現金で持っているよりも、その現金を不動産に変えていた場合のほうが、相続税の負担は通常、小さくなる。なぜ、そうなるのか、今回は不動産に対して相続税がどう計算されるのか、基本的な仕組みを説明しよう。

B 不動産は他の相続財産とは違う扱いなのですか。

A そういうわけではないよ。そもそも相続税は、相続した個々の財産ごとに計算するわけではなく、すべての相続財産を合計して相続税を計算する。現金も株式も保険金も不動産もすべてまとめて計算する。で、問題はその際に不動産の値段をいくらとして計算するか、なんだ。これを専門的な言葉では、相続財産を「評価する」という言い方をしている。

B 相続税の計算において、いくらに評価するかが問題、と。必ずしも不動産を買った値段、というわけではないということですか。

A そうだよ。不動産の値段は変動するからね。相続開始時の価格で評価する必要があるということだよ。

B どのように評価するのですか。

倍率方式と路線価方式

A 評価は土地と建物に分けて行う。まず、建物は固定資産税評価額という価格により評価する。固定資産税評価額は、市町村 —— 東京23区は都 —— が固定資産税を徴収するために固定資産に付けている値段だよ。毎年6月に固定資産税の納付書とともに送られてくる通知書に価格が書いてある。相続税の計算にもその価格を使うんだ。

B それはわかりやすいですね。土地も固定資産税評価額ですか。

A 土地は2通りの評価方法がある。ひとつは倍率方式といって、固定資産税評価額に地域ごとに決められた評価倍率 —— 1.0倍とか1.2倍などの率 —— をかけたものが評価額となる。もうひとつは路線価方式といって、道路に付けられた値段 —— これを路線価という —— によって評価する。

路線価は図に示した路線価図により確認できる。国税局のウェブサイトで見ることができるよ。道路に数字が記載されているが、この数字は、その道路に面した1平方メートル当たりの土地の値段を示したものなんだ。単位は千円だよ。この金額をもとにさまざまな微調整を行って最終的な評価額を計算する仕組みだよ。

B 道路の1本1本に値段が付いているんですか。

A そうだよ。ただ、全国すべての道路に付いているわけではない。路線価の付いていないところは倍率方式で、付いているところは路線価により評価することになっている。都心部ではすべての道路に路線価が付いているよ。

B 路線価とか倍率はだれが決めているのですか。

A 全国に11ある国税局の局長が決めている。

B 路線価は毎年、変わるのですか。

A 毎年1月1日を基準に見直されている。重要なことは、路線価は公示価格 —— 実際に取引される際の目安となる価格 —— の80%をめどに決められていることだ。固定資産税評価額も同じく70%をめどに決められている。したがって、現金を不動産に変えておけば、その時点で相続財産の価格が2~3割下がることになるんだ。

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