公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 Japan Association of Insurance and Financial Advisors

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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年11月号掲載

すでにある、相続税と贈与税の「一体化」

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生前贈与による相続税対策は封じ込められるのか。先月号で取り上げたとおり、相続税と贈与税の一体化が検討されているという。その内容はまだ明らかではないが、じつは「一体化」の仕組みはすでにある。

死亡前3年以内の贈与は"無効"

A 相続税の計算において「生前贈与加算」というのがあるのは知っているかな?

B 知りません。

A ちょっと専門的技術的な話になるけれど、相続開始前3年以内の贈与財産は、相続税の計算の際に、改めて相続財産に加算するという取扱いだよ。具体的にいうと、父親が死んで子どもが相続で財産を取得した場合、たとえば、その子どもが父親の死亡の2年前に父親から1000万円の贈与を受けていた場合、その1000万円を相続財産に加えて相続税を計算するという仕組みだ。

B その分、相続税が多くなるということですか。

A そういうことだよ。

B そうすると、1000万円を贈与されたときに贈与税を払っていて、さらにその1000万円に相続税もかかる。二重に税金がかかるということですか。

A 税務署もそこまであこぎではないよ。すでに納めていた贈与税は相続税の額から控除できるようになっている。

B それだったら問題ないですね。

A 必ずしもそうとはいえないよ。というのは、たとえば110万円の基礎控除以下で、贈与税を払っていない場合であっても、加算することになっているんだ。その場合、無税だと思っていたのに相続税でしっかりとられることになる。

B それじゃ、せっかく無税で贈与した意味がなくなってしまうということ?

贈与税の2つの課税方式と
相続税との関係

贈与税の課税 相続時の取り扱い
暦年課税 1年間で110万円までの基礎控除
10~55%の超過累進税率
3年以内の贈与財産を加算
(相続時に財産を取得した人のみ加算)
相続時精算課税 累積で2,500万円までの特別控除
一律20%の税率
3年以内に限らず過去の贈与財産を加算
(相続時に財産を取得しない人も加算)

A そういうこと。被相続人が死亡する3年前以降の贈与は、この生前贈与加算のルールによって相続税対策にはならないということなんだ。もっとも3年以内に死ぬかどうかは事前にはわからないから、「結果的には」という話だけどね。いずれにしても、相続開始前3年以内の贈与については、すでに贈与税と相続税が一体化されていることになる。いま検討されているのは一体化をさらに強化することで、そのために「3年以内」をたとえば「10年以内」に拡大することなどが取り沙汰されているよ。

B なるほど、そうなると長年かけて贈与してもダメということになりますね。

「精算課税」は一見有利だが……

A ところで、相続時精算課税というのは知っているかい?

B 聞いたことはあるような気がしますが、詳しくは知りません。

A 贈与税の課税方法は2つあって、これまで話してきた、1年間110万円の基礎控除を引いて計算する方法は暦年課税と呼ばれている。もうひとつが相続時精算課税だ。これはかいつまんでいうと、贈与時の税負担を少なくし、将来の相続時に税金を精算する —— 税金を相続時に後払いする、という仕組みだよ。

B 具体的に説明してください。

A 相続時精算課税では、2500万円の特別控除がある。つまり、2500万円以下の贈与であれば、贈与税はかからない。2500万円を超えた場合でも、税率は20%で固定されている。暦年課税の基礎控除110万円や最高55%の超過累進税率と比べると贈与税はとっても優遇されている。

B 暦年課税と相続時精算課税のどちらか好きなほうを選べるのですか。

A 親から子、祖父母から孫への贈与であれば、年齢制限はあるが、相続時精算課税を選択できる。

B それじゃ相続時精算課税を選んだほうが圧倒的に有利ですね。

A そう甘い話ではないよ。相続時精算課税では、先ほど相続時に精算するといったけど、具体的には、相続税の計算の際に、相続開始前3年以内に限らず、すべての贈与財産を相続財産に加算することになっている。もちろん、すでに払った贈与税は控除できるけど、この仕組みは生前贈与しても結局は相続税の対象にすることで、生前贈与による相続税対策を封じているんだ。

B すでに「一体化」がなされている……。

A そういうことだね。劇的な改正が行われるとすれば、暦年課税は廃止、相続時精算課税に一本化ということもあるかもしれないよ。

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