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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年1月号掲載

確定申告、しなくてもいいけれど…

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前回説明したとおり、通常、会社員は年末調整により所得税が精算されるので、確定申告をする必要はない。ただし、あえて確定申告をしたほうがいい場合もある。年末調整には反映されない所得控除などがあるときは、申告することにより税金の還付が受けられる。

申告すれば税が減少

B 前回の説明の最後で「医療費控除は年末調整に反映されない」ということでしたが、どういうことですか。

A 年末調整では、社会保険料控除、生命保険料控除や配偶者控除など多くの所得控除を差し引いて税額が計算されるけど、考慮されないもの、すなわち適用が受けられる控除であっても差し引くことなく計算される所得控除がいくつかあるんだ。その代表的なものが医療費控除だよ。

B 医療費控除というのは、病院などで多額の医療費を払った場合に受けられるものですよね。

A そう、原則として10万円以上の医療費などを払った場合に、10万円を超える金額(注1)が所得金額から控除できる。

B 同じ所得控除なのに、医療費控除はなぜ、年末調整で引いてくれないんですか。

A なぜなのかはよくわからないけれど、少なくとも、会社は各社員がいくら医療費を払ったかを把握していない。把握する仕組み―生命保険料のように書類や証明書を出して報告する仕組みがないからね。

B なるほど。年末調整では考慮されなくても、改めて確定申告をすれば反映されるということですが、年末調整をしていても確定申告をしなければいけない、ということでしょうか。

A しなければいけない、というわけではないけれど、すれば医療費控除が考慮されて税金が減ることになる。だからしたほうがいい、ということだよ。もちろん、しないで放っておいても問題はないよ。

B 減るなら、しないと損ですね。

A ただし、確定申告をするとなるとそれなりに手間がかかるので、控除額が少額なら、しない人もいるだろうね。

(注1)正確には、10万円または「総所得金額等の合計額の5%」のいずれか小さいほうを超えた金額(最高で2000万円)が控除できる。

住宅ローン控除は1年目だけ

B 医療費控除のほかにも、年末調整で引いてくれない所得控除はありますか。

A 雑損控除や寄附金控除も年末調整では反映されない。雑損控除は、災害や盗難にあった場合に損害額のうち一定額を控除できるものだよ。寄附金控除というのは、国や地方公共団体、特定公益法人―たとえば日本赤十字社など―に寄附をした場合に受けられるものだ。いずれも、確定申告により適用を受けることができる(注2)。

B そうした控除が受けられる場合は、確定申告をしたほうがいいということですね。

A そのほかにも、所得控除ではないが、住宅ローン控除も確定申告により適用が受けられる。ただし、確定申告が必要なのは1年目―住宅を買って入居した年分だけで、2年目からは年末調整で反映されるんだ。だから、1回だけ申告すればいい。

B 住宅ローン控除というのはローンを組んで住宅を購入した場合に受けられるものでしたね。

A そう、正確には住宅借入金等特別控除という税額控除だよ。毎年、住宅ローン残高の0.7%(注3)が、税額から控除される。医療費控除などの所得控除は、税金の計算の過程で、所得金額から控除されるものだけど、住宅ローン控除は、最終的に計算された税額から差し引かれるものなので、軽減幅が大きい。

B そもそも住宅ローンは1000万円単位もふつうにありますから、0.7%といっても、大きいですね。多少面倒でも申告したほうがいいですね。

A そうだね。ただし、これも医療費控除などと同じで、申告をしなくても、控除が受けられなくなるだけで、別段お咎めがあるわけではない。一方で、会社員であっても、申告が必須なケースもあるんだ。

B 具体的には?

A 給与収入が年間2000万円を超える場合や副業などで給与以外に20万円を超える「所得」がある場合だよ。

(注2)ふるさと納税も寄附金控除の仕組みによるものであるが、ふるさと納税は一定の要件の下、確定申告は不要となっている。ただし、年末調整で控除されるわけではなく、個別にふるさと納税を行った自治体に申請する必要がある(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。

(注3)2022年1月1日以降に入居した場合(一部例外あり)。2013年~2021年に入居した場合は原則として1%。

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