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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年2月号掲載

贈与税の基本のキ 改正の前に知っておくべきこと

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かねてより取沙汰されていた贈与税の改正が、いよいよ実施されることになった。改正を前に、贈与税の基本的な仕組みについて解説する。

110万円の基礎控除の意義

B 贈与税の改正が行われるようですね。

A 国会で改正法案が成立することが前提になるけれど、以前から予想されていた改正がいよいよ実施されることになるよ。

B なぜ改正が行われるのですか。

A 理由はいろいろあるようだけど、生前贈与による相続税節税防止もその一つのようだよ。

B 生前贈与という言葉はよく耳にしますが、生前に贈与しておけば相続財産が減るから、その分、相続税も減るということですよね。

A それはそのとおりだけど、そう単純な話でもない。というのは、生前贈与には贈与税がかかるからね。

B それでも相続税より贈与税の負担のほうが少なければ、節税になりますよね。

A じつは一般に、贈与税は相続税より負担が大きくなっているんだ。両方とも超過累進税率 —— 課税の対象になる金額が大きくなればなるほど税率が高くなる仕組み —— は10~55%で同じだけど、税率がアップする度合いが贈与税のほうが急なんだ。それに贈与税の基礎控除が110万円であるのに対し、相続税は法定相続人がいれば最低でも3600万円だ。つまり、同じ金額を相続で受け取った場合と贈与で受けとった場合とでは、贈与のほうが、格段に税金は多くなる。

B それじゃ、生前贈与は意味がない?

A そういうわけでもないよ。ポイントは110万円の基礎控除で、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産額から毎年差し引くことができる。

B ということは、毎年110万円ずつ贈与すれば贈与税はゼロですみ、長い目でみれば相当な財産を移転できて、その分相続税は少なくてすむ……。

A そのとおり!しかもこの110万円は、贈与を受けた人ごとに適用がある。つまり、複数の子どもや孫に毎年110万円ずつ贈与しても、贈与税はかからない。

B 年間、4人の子や孫に110万円ずつ贈与すれば、4400万円を無税で移せるということになりますね。

7年以内の贈与は加算へ

A ただし、贈与者の死亡前3年以内の贈与については特別なルールがある。110万円以下で贈与税がかからなかった場合も含め、贈与者が死亡した時には相続財産としてカウントしなければならないんだ。

B せっかく贈与したのに……。

A そうだよ。相続税の計算上、死亡前3年以内の贈与財産を実際の相続財産に加算して —— これを一般に「持ち戻す」と呼んでいる —— 相続税を計算するんだ。だから、死亡前3年以内の贈与は原則として相続税を減らす効果はない、ということになる。

B 3年より前に贈与した分は持ち戻す必要はないんですよね。

A これまではね。それが今回の改正で、持ち戻す贈与財産の対象が死亡前「7年以内」に拡大されるんだ。対象となるのは、2024年の贈与からで、実際に改正の影響が出てくるのは2027年以降の相続になる。一方で、相続開始前4~7年の贈与財産については合計額のうち100万円までは加算対象外となる。

B それじゃ、うんと早くから贈与すればまだOKですね。

A 確かに、相続対策としての生前贈与は早く始めれば始めるほど効果は大きいんだけれど、贈与者からみれば早くから、つまりまだ“若い”うちから財産を渡すことに抵抗を感じることもあるかもしれないよ。

B 贈与税には、相続時精算課税制度というのもあると聞きましたが……。

A これまで説明してきた110万円の基礎控除、死亡前3年以内の贈与財産の持ち戻しというのは、暦年課税という課税方法の話なんだ。これとは別の課税方法として相続時精算課税があり、親などから贈与を受けた財産については、どちらかを選択することができる。

B 相続時精算課税はどのような仕組みですか。

A 相続時精算課税では、110万円の基礎控除ではなく、2500万円の特別控除を差し引くことができ、税率も一律20%ですむ。

B 2500万円も控除できるのは凄いですね。

A そうだね。でもこの2500万円は毎年引けるのではなく、同じ人からの贈与について累計で、ということだけどね。一方で、相続時精算課税では「3年(改正後は7年)以内」に限らず、ずっと過去にさかのぼって贈与財産の持ち戻しが必要なんだ。ただ、この相続時精算課税についても改正が実施されることになったよ(詳しくは次号以降で解説)。

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